副業の確定申告
Q.私は、ある企業に正社員として雇用されていますが、副業で数社に対してコンサルティング業務を行っています。この副業の収入について、所得税の確定申告を行う際に、事業所得として申告すればいいですか、それとも雑所得として申告すればいいですか。
A.営利目的で反復・継続的に事業活動を行っていると客観的に認められる場合には、事業所得に該当しますが、単発的な業務を行っているに過ぎない場合には、雑所得となります。一般的には、副業で得た所得については、雑所得で申告することになります。雑所得として申告する場合には、赤字が発生しても他の給与所得等との損益通算ができないこと等に注意する必要があります。
(解説)
1.事業所得と雑所得の判断基準
国税庁は以下の点を総合的に勘案して、事業所得に該当するか否か判断することとしています。
・社会通念上、事業と呼ばれる水準で行われている活動なのか。
・計画的でリスク負担を伴うものか。
・営利的、有償性があるもので反復的に行われているものか。
・人的・物的な設備等があるのか。
・その取引に精神的・肉体的な負担が相当程度かかっているのか。
・取引に関する帳簿書類の保存があるのか。
・収入金額が年300万円超あるのか。
2.事業所得の場合と雑所得の場合の税制上の取り扱いの違い
この2つの所得の主な違いは以下のとおりです。
・事業所得で赤字(経費が多くかかって収入よりも多い)が出た場合、給与所得等他の所得と相殺して所得税を減らす損益通算が可能です。しかし、雑所得の場合、仮に赤字でも給与所得等の所得と相殺できません。
・事業所得の場合、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告特別控除(最大65万円)を受けることができ、所得金額を減額できるのに対して雑所得にはこの制度はありません。
3.留意事項
副業の所得を事業所得で赤字として申告し、給与所得と通算して確定申告を行う場合には、税務調査が行われる可能性が高まることに注意してください。事業所得として申告するのであれば、事業活動が客観的に成立していることを主張するために、税務調査にも耐えられるような理屈付け、契約書類や帳簿類の整理等を行うことが必要になります。