相続開始日から相続税申告日までのスケジュール
Q.相続が発生してから、相続税の申告までに行わなければならないことや期限について教えてください。
A.相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人がお亡くなりになった日)の翌日から10ヵ月以内に行わなければいけません。
相続が発生した際は、相続税の申告と納税の他に、公的な手続きや遺言書の確認、相続財産の調査、状況によっては被相続人の所得税の申告と納税の手続等を行う必要があります。今回は相続税の申告までに行う必要がある手続きや期限について解説します。
(解説)
7日以内
・死亡届の提出
被相続人(お亡くなりになった方)の親族等が死亡届に必要事項を記載し、被相続人の本籍地、届出人の所在地または死亡した場所の区市役所・町村役場へ提出します。
3ヵ月以内
・遺言書の有無の確認
自宅に自筆証書遺言がないか、公証役場で公正証書遺言がないか確認します。自筆証書遺言を発見した場合には、勝手に開封せず、速やかに家庭裁判所に提出して検認手続を行う必要があります。なお、法務局で保管された自筆証書遺言については、家庭裁判所における検認が不要です。
・法定相続人の調査と確定
役場で、被相続人の戸籍謄本を取得し、法律上の相続人の範囲(法定相続人)を確認します。なお、法定相続人を確認するために、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を収集します。
・相続財産の調査・確認
被相続人の財産(預貯金、不動産、株式等)と債務(借入金、未払金等)を含めてリストアップします。
・相続財産を引き継ぐか否かを決定
上記の相続財産の調査・確認の結果、財産よりも債務の方が大きい場合は、相続放棄(財産と債務をあえて引き継がない方法)や限定承認(財産の範囲内で債務を引き継ぐ方法)の申述を家庭裁判所に行います。
4ヵ月以内
・被相続人の所得税の申告(準確定申告)
相続人は、被相続人の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額計算を行い、申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
被相続人が個人事業を行っていた場合、不動産収入がある場合等に準確定申告が必要になる場合があります。
10ヵ月以内
・遺産分割
遺言書があれば、原則としてその内容で遺産を分割します。遺言書がなければ、相続人全員による遺産分割協議を行います。仮に遺産分割協議が相続税の申告期限までにまとまらない場合は、一旦、法定相続分で相続税を計算し、申告と納税を行います。
なお、遺言書がある場合でも、相続人全員が同意すれば、遺言書と異なる内容で遺産を分割することも可能です。
・相続税の計算と申告書類の作成・提出
相続税の申告と納税は、どちらも相続開始日の翌日から10ヵ月以内となります。(期限の日が土曜日、日曜日、祝日の場合は、その翌日が期限となります。)
相続財産が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税が必要となります。また、「配偶者の税額の軽減」を受ける場合や「小規模宅地等の特例」を受ける場合には、特例になりますので相続税の申告が必要になることに注意が必要です。
まとめ
相続税について、期限後の申告・納税になってしまうと、延滞税や加算税等のペナルティが課される可能性があります。また、相続税の申告・納税の他にも期限が決まっている手続きが多くありますので、早めに手続を始めることが重要です。ご不明な点がある場合は、税理士・司法書士・弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。