独立開業する場合の個人事業主の消費税
Q.私は今年の3月まで、ある企業に勤務していましたが、4月から個人事業主として独立することになりました。この場合、消費税を納税する必要はあるのでしょうか。
A.独立初年度でしたら、原則として、消費税の納税義務はありません。しかし、初年度からインボイス登録を行う場合には、消費税の納税義務が発生する課税事業者になります。
また、インボイス登録を行わない場合でも、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合には、その年に消費税の納税義務が発生します。
(解説)
原則
個人事業主の場合、原則として、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納税義務がありません(免税事業者)。独立初年度は、前々年の課税売上高がありませんので、「適格請求書発行事業者の登録申請書」(インボイス登録事業者になる場合の申請書)等の消費税に関する届出書を税務署に提出しない限り、消費税の納税義務がありません。
例外①インボイス登録事業者を選択する場合
開業初年度であり、通常は免税事業者であったとしても、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出した場合には、売上高にかかわらず、課税事業者になるため、消費税を納税する義務が発生します。
例外②基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合
前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その年から納税義務が発生します。なお、開業初年度等で基準期間が存在しない場合には、納税義務が発生しないことになります。
例外③特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合
前年の1月1日から6月30日までの半年間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その年から納税義務が発生します。また、この判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできます。つまり、課税売上高の判定で1,000万円を超えている場合であっても、給与等支払額の合計額が1,000万円を超えていない場合には、納税義務はありません。なお、開業初年度で特定期間が存在しない場合には、納税義務が発生しないことになります。
まとめ
開業初年度においては、ご自分でインボイス登録事業者になることを選択しない限り、課税事業者(消費税を納税する事業者)には該当しません。課税事業者になる場合には、通常は納税負担が発生しますので、開業初年度は免税事業者にして、納税しないケースが多いかと思います。ただし、預かった消費税よりも支払った消費税の方が多い場合には、還付と言って消費税が戻ってくる場合がありますので、このような場合には、課税事業者を選択した方が有利になることに注意が必要です。開業初年度からインボイス登録を行い課税事業者になるべきか免税事業者を選択するのか等、お悩みの際には税理士等の専門家に相談することをお勧めします。